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2013.07.28 Sunday

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2013.07.11 Thursday

仮面ライダー龍騎-FILE ZERO- 仮面ライダー龍吼 エピソード1

 
エピソード1「遭遇〜出会い〜」




ー巡る運命と、龍。これらは決して、誰にも止める事はできない。




キーンコーンカーンコーン。

退屈な授業を終わらせる唯一の効果を持つ呪文、”チャイム”が発動した事により、授業をやめざるをえなくなった教師が、不服そうな顔で教室を去って行った。
とたんに教室は騒がしさを取り戻して行く。この男”神田修司”も、その騒がしさに加担する一人であった。
「ねぇねぇ!!もうすぐ夏休みだよね!!」一人の少女が彼の元へ歩み寄る。
「そうだな!!夏と言えばプール!!んでいつ行くよ!?」
嬉々とする修司に少女ー飯島里美ーは呆れたように口を開く。
「まだ誰もプール行くなんて言って無いでしょ!?それにどーせ、女の子の水着見たいだけでしょ?」
「まぁ、水着は男のロマンだからな。解るぞ、修司。」
唐突に参加した眼鏡の少年は市原大紀。解ったような顔で頷く彼に修司は不服な表情を見せた。
「俺はただ目一杯遊びたいだけだ!!」
「確かに、折角の夏なんだしいっぱい遊びたいよね。」
修司の言葉に寄って来たおさげの少女が答える。
「利穂もどっか行きたい?」里美が身を乗り出した。
おさげの少女ー林 利穂ーは後ろで腕を組み、身体を揺らしながら口を開いた。
「うーんいろいろ行きたいけど、まずは定番がいいなぁ。」
「定番か・・・。」大紀が腕を組む。
その時。突然修司が立ち上がり、
「よし、まずは肝試しからだ!!」
その言葉に里美が同調する。
「肝試しか・・・悪くないね。じゃあ、いつやる?」
その問いに修司は嬉々とした声で答えた。

「それは・・・・今日!!」


暗い雑木林を、4人の男女が抜けて行く。
「おい、修司!早くこっち来いって!」
薄暗い茂みの中、眼鏡を掛けた少年がフェンス越しに彼をせかした。
「大紀まずいよ!ここ立ち入り禁止って書いてるよ!」
彼の見上げた先で、残酷に尖った有刺鉄線が月明かりに光る。その時一人の少女が、彼の横を過ぎ去り、フェンスの下に空いた穴から向こう岸へと渡った。
「ちょ、ちょっと里美!」
フェンス越しに少女は彼の顔に近づき、怪訝な表情で見つめた。
「なによ?あんたビビってんの?元々、みんなで肝試ししよー!なんて言ったの、あんたなんだからね!」
彼は少女から目をそらし、小さく呟く。
「で、でもこんな所まで来ようなんて言ってないし、大体俺ら高校生だし、見つかったらヤバいって・・・」
その言葉に少女は得意げな表情を浮かべた。
「ふーん、怖いんだ?」
彼は頬を赤くし、反論した。
「んなわけないだろ!あーもう、行けば良いんでしょ!行けば!」
半ば諦めの表情でフェンスを潜った彼に、少女は笑う。
「ふふーん、それでよろしい♪」
「はぁー・・・」
2人よりも先に足を進めていた少年と少女が、手招きとともに声を張った。
「おーい修司、里美!なんか屋敷みたいなのがあるぞー!」
「はやくはやくー!」
「ほら、行くよ修司!」
少女が修司の腕をひっぱり、2人へと走り寄る。彼は重い足取りのまま、速度を速くしただけの状態でそれに付いていった。
茂みを抜けると、確かにそこには屋敷があった。西洋風のその屋敷は老朽化が進み、とても人の住んでいる状態には見えない。
窓にはヒビが入り、レンガの壁の凹凸を白い月明かりが不気味に照らす。
「・・・ちょっと怖いかも。」
おさげの少女が屋敷を見つめ、後ずさる。その言葉に眼鏡の少年がウィンクをしながら親指を立てた。
「大丈夫だよ利穂ちゃん!俺が付いてるから!」
「ったく、大紀は調子いいんだがら・・・」修司がぼそっと口走る。
苦笑するおさげの少女に、もう一人の少女が口を開く。
「じゃ、はいりますか!」
「えっ!?」
その言葉に修司とおさげの少女が驚愕する。
「え、じゃないでしょ!ここまで来たからには入んないでどうすんの!?」
「さ、里美ちゃんは怖くないの?」涙目になりつつあるおさげの少女が問う。
少女は得意げだった。
「ぜーんぜん!」
「でも、鍵がかかってるかも・・・」修司が付け加える。

ガチャ。

その音に、屋敷の方へ目を向けると、眼鏡の少年が開いたドアノブを握りながら手を振っていた。
「おーい開いたぞー!」
その声を確認した少女が嬉々として2人の腕を引っ張る。
「レッツゴー!!」
「はぁー・・・」修司の口からため息が溢れた。

案の定周りは暗く、そのままではほとんど何も見えない。床の軋む音と呼吸音の反射が、内部がある程度の空間を持っていることを知らせていた。
持って行きた懐中電灯の明かりをたよりに、前にゆっくりと進む。里美が先頭をきり、その次が大紀、利穂、そして修司の順に並び歩き、辺りを探索した。
懐中電灯の知らせる限りでは、周りには古びた家具や、煤けた壁があるだけだ。最後尾で付いていく中、懐中電灯の光の末端が窓にさしかかり、修司は不可解なものを発見した。
「(なんで窓を紙で覆ってるんだろう・・・?)」

その時。
「うわああああっ!!!!」
修司が一歩踏み出した途端、腐食した木材の床が抜け、彼をその下の暗闇へ追いやった。
「修司!?大丈夫?」
「おい修司!」
「修司くん!?」
3人の眼差しとともに床下へと懐中電灯の光が当てられる。
「いててて・・・だ、大丈夫だよ・・」
尻餅をついた彼が立ち上がると、落ちたそこは、どうやらただの床下ではなく地下室らしき空間だと解った。
「なんか、地下室みたい。」
奥の方へ足を進めようとしたその時、コツン、と足に何か当たった感触が広がった。
「ん、なんだ?」
手探りにつま先の周りを確認すると、薄い長方形の何かに手が触れた。
拾い上げたそれは、なにかケースのような形状をしている。
「里美!なんか拾った!」
しかし、帰って来た返事は別の人物からだった。
「里美はなんか、窓に紙が張ってある!って言って調べに行っちゃったよ?」
利穂の声が上からそう伝える。
「(窓の紙って、さっきのあれか・・・。)」
突然、漆黒が支配していた空間に光が射し来んだ。修司が見上げた先では、窓の紙が剥がされ月の光が差し込んでいる。
上から得意げな里美の顔が覗き込んだ。
「なんか窓に紙が張ってあったから、全部剥がしたの。こっちのほうが明るくて探索しやすいでしょ?」

キィイイイイイイイイン・・・・

「うぅっ・・・!!」
修司がその場にしゃがみ込む。
「どうした修司?」大紀の問いに彼が答える。
「な、なんか急にキーンて音がして・・・」
しゃがみながら上を見る修司に、里美が言う。
「そんなのぜんぜん聞こえなかったけど・・・?」

キィイイイイイイイン・・・・・

「うっ・・!まただ・・!!」彼は頭を抱えて丸くなった。
「大丈夫?具合が悪いなら、もう帰った方が・・・」

その時、月明かりに照らされた窓から”何か”が動いた。
次の瞬間、利穂の姿が消えた。

「きゃああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

屋敷の内部に甲高い声が谺する。しかし、それよりも大きな怒号にそれはかき消された。


『ギャオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!』


修司は自分の目をこれほどまで疑った経験は無かった。利穂は何者かに捕えられていた。そしてそれは・・・

「龍・・・」

龍。とてつもなく巨大な龍。それが利穂の身体をくわえこんでいる。

「うわあああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
ようやく状況を理解した3人は叫んだ。
紅蓮に燃える身体と、あまりにも鋭利な牙を光らせ、龍は縦横無尽に屋敷の中を暴れ回った。
利穂の身体に牙を食い込ませ、龍は首を大きく振った。その姿はまるで、おもちゃを扱う幼い子供のように見えた。
必死に抵抗を試みる利穂の腕が次第に力を失い、悲鳴は消えていった。3人は利穂が龍の牙により、肉のかたまりとなっていく様子をただ唖然として見ていた。
やがて牙から解放された利穂の身体は、見るに堪えない姿となり壁に当たった「ぐちゃり。」という音を最後に動かなくなった。
「うわああああああ!!!!!」
混乱した大紀が出口目掛けて走り出す。目には涙を浮かべて一心不乱にドアを目指した。

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!』

伸ばした手がドアノブを掴んだ。しかし、それは龍が大紀の胸から下を食いちぎった後の事だった。
鮮血が腐食した床に音も無く染み渡る。残された僅かな身体は、ドアノブを決して離さずそのままそこにぶら下がった。
床下でただ、動けないままの修司の頭上に液体が滴り落ちる。ゆっくり見上げると、座り込んだ里美が上を向き大口を開け、瞬きもせず小便を漏らしていた。
「・・・・さと、み・・・・?」
「・・・・・・・・・」
返答は無い。
かつて友人だった肉塊を貪っていた龍が、アンモニアの臭いに反応しこちらに振り向く。炎の様に滾る眼光が、里美の姿を捉えた。
龍が里美の頭上に迫る。血生臭い龍の吐息が、彼女の全身に降り注ぐ。
「あ・・・・・あ・・・・・・・」

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!』

牙を向けた龍。同時に里美の叫びが空間を揺さぶる。
「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでやめてよやめてよやめてよやめてよ私はこれからいろんな事頑張っていろんな事経験して利穂たちと遊んでみんなといっしょにすごしてたのしいことがたくさんまってるんだからやめてよやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだやだこんなのいやだああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」



《アドベント》


突如として、龍の牙は何かによって弾かれた。怯んだ龍は標的を変え、その何かを探した。しかし、その隙が龍を敗北へと招く。

「フン!!!」

戦士は鏡の中から現れた。構えられた剣は悪しき龍を断つ嚆矢となる。空間を高速で切り裂く鋼の翼に、龍は追いつくことすらままならない。

ガギィン!!

「何!?」

しかし、その刃は龍を断つ程の力は無かった。戦士は弾かれ床に叩きつけられる。

修司は床下から這い上がり、里美の元へ向かう。彼女は表情を固めたまま、涙だけを止めどなく流していた。

龍は戦士によって自らの自尊心を傷つけられたのか、怒りをあらわにし、戦士に噛み付いた。
戦士は剣を突き立て抵抗を試みるも、強靭な龍の前では名刀も鈍らと化してしまう。戦士は悶えた。
その時、戦士の目に修司の手に握られたデッキケースが映った。そして、そのデッキケースにはまだ紋章が刻まれていない。
戦士は少年に訴えかける。
「契約・・・・」

修司は戦士が何を行っているのか理解できなかった。
戦士は声を振り絞り、叫ぶ。

「契約しろぉぉぉぉぉ!!!!!!」

その瞬間。戦士をくわえたままの龍は、窓の中へと消えていった。

そして、修司の手に収まっていたケースが突如発光を始める。次の瞬間吸い込まれるように彼の姿は鏡の中へと消えた。
しばらくして、彼の身体は再び木製の床に叩き付けられた。鈍い痛みが神経の所々で主張している。立ち上がった時、自分が何かを身にまとっている事に気付いた。
「なんだよ・・・これ・・・。」
戦闘服のような姿に変貌した彼は、先ほどの戦士が倒れこんでいることに気付いた。そして、その頭上にはさっきの龍が。


『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!』


戦士は叫ぶ。

「契約のカードを使ってこの龍と契約しろ!契約しろぉぉぉぉ!!」

修司はゆっくりとデッキケースに手を伸ばした。そしてそこから取り出された1枚のカード

「コントラクト・・・・」

カードが悪しき龍へかざされる。戦士から牙を離した龍が、こちらに向かった。しかし、攻撃はせず、契約のカードを見つめている。

『ギャオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!』

叫びと共に龍は契約のカードへと潜り込んだ。カードは『契約』から『爆炎龍ドラグファイヤー』へとその姿を変えた。
その瞬間、デッキケースには龍の紋章が刻まれ、修司の姿が紅蓮に燃える龍の戦士へと変身する。
倒れていた戦士が立ち上がる。そして、こちらに正面を向き剣を構えた。
「・・・・”仮面ライダー龍吼”・・・新しいライダー誕生か。生かしては返さん。」

振り下ろされた剣は、龍の戦士を切り裂く。


エピソード2に続く。


2013.07.28 Sunday

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