2013.07.11 Thursday
仮面ライダー龍騎-FILE ZERO- 『仮面ライダー龍吼』 プロローグ
ーそう、彼らは繰り返す。命ある限り、何度だって。その運命の渦の中で、自らの願いを、欲望を巡らせて行く。たった一度与えられた、命をチャンスにして。
そこにある光を手にするものに、架せられる十字架はただ一つ。
『戦わなければ、生き残れない!』
ー誰もいないビルの屋上で風に吹かれながら、彼は居た。悲しみとは違う冷めた表情で、ただ空をじっと見つめる。ロングコートのポケットに収まっている彼の手が、居心地悪そうにもぞもぞと動いた。彼は自分に問う。
”あれは失敗だったか?”
どうだろう。失敗といえば失敗かもしれない。しかし、何度自問しても、それが遠き過去の話であることに変わりはない。
13の命がせめぎあう、あの”儀式”を、もう一度。これが最後のチャンスかもしれない。
”あなたがどうであろうと、運命は変えられませんよ。”
彼以外誰も存在しない筈のこの空間で、そんな声がした。
彼は下を向きふっ、と笑みをこぼした。
「変えてみせるさ。」
なんだか自分がとてもばからしく思えた。しかし、その決意は固い。
もう一度。もう一度で良い。これですべてを終わりにしよう。
ポケットから抜け出した手には、一つのカードデッキ。彼の唇が小さく呟く。
「変身」
取り出された一枚のカード。さぁ、”もう一度”。
「待っていてくれ、優衣。」
《タイムベント》
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